デジタルマルチメータは、数字表示タイプのテスタのことを言います。A(アナログ)-D(デジタル)変換回路を用いて電圧や電流のアナログ量をデジタル量に変換して表示します。
デジタルマルチメータの長所
- 高確度の製品ができる
- 指示の読み違えがなく直読できる
- 電圧のレンジの内部抵抗が高く、各レンジが一定値である。したがって、定電圧レンジの内部抵抗が高く、半導体などの測定に適している。
- 表示器に単位、極性及びスケール・オーバーなどの表示が容易に行える
短所
- 変化する値に対し、指示のチラツキがあって読みづらい
- 最大値や最小値を見出すなど、レベル調整には向かない
デジタルマルチメータの種類
最大表示の種類
- 1999カウント (3½桁)
- 19999カウント (4¼桁)
表示器
- 1液晶表示器(LCD)
- 発光ダイオード(LED)
レンジの切り替え方式
- マニュアルレンジ方式
- ロータリスイッチやプッシュスイッチを手で操作。
- オートレンジ方式
- 測定値の大きさによって自動的にレンジが切り替わる。
測定範囲
- 直流電圧 DC[V]
- 50[mV]/500[mV]/5[V]/50[V]/500[V]/1000[V]
- 交流電圧 AC[V]
- 50[mV]/500[mV]/5[V]/50[V]/500[V]
- 直流電流 DC[A]
- 500[μA]/5000[μA]/50[mA]/500[mA]/5[A]/10[A]
- 交流電流 AC[A]
- 500[μA]/5000[μA]/50[mA]/500[mA]/5[A]/10[A]
- 抵抗[Ω]
- 50[Ω]/500[Ω]/50[kΩ]/500[kΩ]/5[MΩ]/50[MΩ]
他にも、ダイオードチェックやブザー音による導通テストが行なえます。また、別売りのプローブを利用すれば温度のチェックも行なえます。
用語
説明書やカタログに記載されている主だった用語についての説明です。
- データ・ホールド(DH)
- データ・ホールドスイッチを押すと、押したときの表示値を保持します。保持された表示値は、入力値が変化しても解除するまで変化しません。保持された表示値の解除は、再度スイッチを押すと解除されます。
- オートパワーオフ
- 電源を切り忘れても、一定時間経つと電池の消耗を防ぐために操作がないと電源が切れる機能です。
- レンジ・ホールド
- オートレンジでは、レンジ切り替えに時間が掛かるため、測定時間が長くなります。また、測定値の変動によりレンジが頻繁に切り替わると読み取りが困難になります。RANGEボタンを押すと、目的のレンジにホールドして測定することができます。
表示器の表示
- 測定の種類と単位表示
- ファンクションスイッチの切り替えると、表示器の左側にはACやDCなどの測定の種類、右側には[mA]/[V]などの単位が表示されます。また、レンジにより小数点の位置も移動します。
- 極性表示
- 直流の電圧や電流の測定時、測定端子への入力に対して、(+)や(-)の符号を表示します。
- 入力オーバー表示
- 測定入力が測定範囲を越えると、"OL"表示や、数字の点滅など表示されます。抵抗測定時は、測定していない場合でも"無限大"の抵抗値として"OL"などの表示が出ます。
- 内臓電池の残量表示
- 内臓電池が消耗してきて残量が少なくなってくると、機種によって異なりますが電池マークが点滅したり"BATT"表示が出ます。
参考文献
金沢 敏保 (著), 藤原 章雄 (著)
テスタとディジタル・マルチメータの使い方―動作原理から正しい使い方と物理量の正確な測定方法まで (計測器BASIC)
CQ出版; 改訂新版 (2005/12)
単行本: 155ページ
ISBN-10: 4789837203
ISBN-13: 978-4789837200