演目のマメ知識

吹奏楽で使われる楽器の種類

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ホール催事のレパートリーに必ず入ってくるのが吹奏楽です。中学校や高校などの部活動だけでなく職業演奏団体、自衛隊や警察の音楽隊、ジャズバンド、アマチュア団体など吹奏楽専門の演奏団体の数は数知れずあり、一説では500万人近い人が関わっているとも言われています。

ピアノなどの分野と比べると歴史も浅く情報も少ないため、少しでも吹奏楽の基本的な知識を増やすべく吹奏楽の楽器や種類を調べてみました。

吹奏楽とブラスバンドは別物

吹奏楽のことを、ブラスバンドと混同している人を多く見受けます。吹奏楽部のことを「ブラバン」と呼んでいたり、中にはブラスバンドと吹奏楽を同義で扱っている書籍までもありますが、ブラスバンドと吹奏楽は違うものです。

本来「ブラス」とは心中の意味で、「ブラスバンド」とは金管楽器のバンド、すなわちヨーロッパを中心に盛んなブリティッシュスタイルの「金管バンド」のことを指します。

日本は戦後アメリカを追従しており、アメリカのベースはイギリス式ですが、その後「ウィンド・バンド」という呼称が使われるようになり、民間との区別のために軍楽隊を「サーヴィス・バンド」とも呼んでいます。
また、大編成を「シンフォニック・バンド」、より絞った編成を「シンフォニック・ウィンド・アンサンブル」と定義付けされています。

日本では「ウィンド・オーケストラ」という呼称が多く見受けられますが、後発の部類にも関わらず世界中で多く見られる吹奏楽団の呼称です。

吹奏楽で使われる楽器

吹奏楽の編成は、大きく分けて木管楽器・金管楽器・打楽器・の他に弦楽器のコントラバスを加えた4つのセクションに分けられます。
各楽器の中ではクラリネットの人数が一番多く、オーケストラのヴァイオリンの役割を果たしています。

木管楽器の種類と発音原理

木管楽器の定義は、材質が木というわけではなく、発音原理が唇を振動させるリップリードではないものを指します。

吹奏楽で使われる木管楽器は、発音原理の違いによって「エアリード楽器」「シングルリード楽器」「ダブルリード楽器」の3種類に分類されます。

エアリード楽器

リードを持たず、管の孔の角に息を吹きかけて空気を振動させることにより音を出します。吹き口から音が出る仕組みなので、ベルは持ちません。

  • フルート
  • 高音域を担当する木管楽器で、吹奏楽では2パートある場合が多いです。元は木で作られていましたが、現在は銀や洋銀、金などの金属で作られています。

  • ピッコロ
  • 正式名称をピッコロ・フルートと言います。フルートと比べて長さが半分しかない小型の横笛で、調整はC管で音域はフルートの1オクターブ上です。管の内部が先端にいくほど細くなる円錐形になっているので、内部が円筒形のフルートよりも低音域では素朴で可愛らしい音がする反面、高音域では澄んだ音がして強く吹くと非常に鋭い音が出ます。

シングルリード楽器

1枚のリードを取り付けたマウスピースを咥えて音を出します。リードが1枚で簡単な構造なので、雑味のない音がします。

  • サクソフォン
  • アルト・ソプラノ・テナー・バリトンのそれぞれ4種類あり、まとめてサクソフォンファミリーと呼んでいます。

    アルトサクソフォンはサクソフォンファミリーを代表する楽器としてクラシック、ジャズの両ジャンルで幅広く活躍しています。甘く華やかな音色を持っていて、ささやくようなピアノから力強いフォルテまで幅広い表現ができます。吹奏楽では、通常2パートに分かれ、他のサクソフォンとセクションを組んでおり、吹奏楽では人数が少ないアルト音域を充実させる役割を持っています。

    ソプラノサクソフォンは、アルトサクソフォンよりも管が短いので音域も高く、明るく線の細い音がします。外観や見た目はクラリネットやオーボエに似ていますが、華やかで豊かな響きを持っています。吹奏楽では常時使われることはありません。

    テナーサクソフォンは、アルトサクソフォンより少し大きく、ソプラノサクソフォンの1オクターブ下の音域を担当します。吹奏楽では、アルトサクソフォンとバリトンサクソフォンとともにセッションを組んでハーモニーや旋律を担当します。

    バリトンサクソフォンは、サクソフォンファミリーの中の低音域を担当し、ちょうどアルトサクソフォンの1オクターブ下の音が出ます。吹奏楽では、バスクラリネットやバストロンボーンとともにベースラインを担当することが多く、この楽器が加わることで合奏のひびきの芯が発揮しする効果があります。

  • クラリネット
  • フルートと同じ長さですが、倍音構造が特殊なので音域が広く、低音域はフルートのオクターブ近く低い音まで出すことができます。吹奏楽では、この広い音域を利用してオーケストラのヴァイオリンのような役割を担っており、3パートに分かれて大勢で演奏します。

ダブルリード楽器

重ね合わせた2枚のリードを咥えて音を出します。2枚のリードが振動するので、複雑で味わいのある音がします。

  • オーボエ
  • フルートとほぼ同じ長さで、出る音域はフルートより少し狭めです。繊細で澄み渡るような音色を持ち、吹奏楽では哀愁を帯びたソロに欠かすことができません。また、強く吹いたときには突き抜けて通るような音をだすことも可能です。

  • イングリッシュホルン
  • オーボエよりも5度低いアルト音域を持つ楽器です。球根形のベルと金属製の曲がったボーカル(リードとボディをつなぐ管)を持ち、牧歌的で叙情的な音を出します。
    吹奏楽では大編成のときに1パート設けられることが多く、オーボエ奏者が持ち替えることもあります。

  • ファゴット
  • ファゴットは、2メートル半を超える長さの管を束ねて折り返した構造を持つ低音楽器で、とぼけたような温かい音色を出します。
    本体をストラップで吊るして構えるため、親指で低音域のキーを操作できるので3オクターブ以上の広い音域を持っています。吹奏楽では地味な存在ですが、オーボエと同じように合奏全体の響きに豊かさと輪郭を与えます。

  • コントラファゴット
  • ファゴットの倍の管長で、ファゴットより1オクターブ低い音域を持っています。コントラバスと同じパートを演奏することが多く、この楽器の重低音が加わることで合奏全体のサウンドに安定感を与えます。どこかユーモラスながら地底からのうめき声のような重低音は、ソロ演奏のときに人を惹き付けるインパクトがあります。

金管楽器の種類と発音原理

金管楽器は、材質が金属の楽器というわけではなく、唇を振動させて音を出すリップリード楽器のことを指します。
唇の振動は倍音を自由にコントロールできるので、広い音域にわたる倍音とバルブかスライドの操作を組み合わせて曲を奏でています。全ての金管楽器はどれも同じ発音原理ですが、管の開き方によって大まかに3種類に別れます。

円筒部分の多い楽器

直線的で明るく輝かしい音がします。

  • トロンボーン
  • テノールトロンボーンとバストロンボーンの2種類があります。テノールトロンボーンは、トランペットの倍の管長を持ち、他の金管楽器のようなバルブではなく巻を伸び縮みさせるスライドで音程を作ります。ストレートの管と前を向いた大きなベルが生み出す音はダイナミックで、大きな音で吹いたときに金属的で華やかな音が出る一方で、小さな音で吹いたときは暖かくソフトな音を出すことができます。吹奏楽では、テノール2本とバス1本の3パートでセクションを組みます。

    バストロンボーンは、テノールと同じ長さのトロンボーンで、管の太さやベルはテノールよりも大きく作られており、マウスピースも大きな口径で深いものを使用します。
    オーケストラや吹奏楽では、トロンボーンセクションの最低音パートを受け持ちハーモニーを形成する他、チューバと組んでベースラインを担当することが多くあります。
    大きな音量で吹いたときは合奏全体のひびきの芯になり大きな効果を生みます。

  • トランペット
  • 金管楽器の中でいちばん高い音域を担当します。細くて短い管と前に向いたベルを持っているので、非常に明るく華やかな音がします。
    吹奏楽では、3〜4パートに分かれて旋律を担当することが多く、曲のクライマックスで高い音を吹き鳴らす効果は絶大です。
    また、種類の異なる弱音器を装着することによって、音色を色々変えることもできます。

中間の楽器

柔らかい音がしますが、明るく輝かしい音もします。円筒部分がトランペットやトロンボーン同様に多いのですが、開き方が大きく深いマウスピースを使います。

  • ホルン
  • ホルンは、細く長い管を丸く巻いたボディと後ろに向いた大型のベルを持つ楽器です。非常に広い音域を持ち、アルト音域からチューバのような低い音域までカバーします。
    右手をベルに差し入れる独特の演奏スタイルで、左手のバルブ操作だけでなく右手の加減で音程の微調整や音色の変化を行っており、完全にベルを塞ぐと金属質の渋い音を出すこともできます。

円錐部分が多い楽器

深く柔らかい音がします。

  • チューバ
  • 金管楽器の中で最低音域を担当する大型の楽器で、円錐形の管と上に向いたベルを持ちます。吹奏楽ではバンド全体を支える大事な役割を持っています。

  • ユーフォニアム
  • 上向きのベルに向かって次第に太くなっていく円錐状の管を持つ低音金管楽器です。管長や音域はテノールトロンボーンと同じですが、非常に丸く柔らかな音色を持っています。
    吹奏楽では、通常1パートが設けられていて、なめらかなソロや対旋律を担当することが多く、ビロードのように美しい音色が活かされます。また、それ以外にもトロンボーンやチューバとともに力強いパッセージを演奏することもあります。

打楽器の種類と発音原理

吹奏楽で使われる打楽器には実に多くの種類があります。場合によっては、鳥の鳴き声を出す笛のように、息で吹くものを担当することもあります。
大まかに分類すると、皮を張った太鼓類の「膜鳴楽器」、金属や木でできた楽器を叩く「体鳴楽器」、音階順に並べた鍵盤を叩く「鍵盤打楽器」に分けられます。

膜鳴楽器

胴に皮を張ってバチや素手で叩いて音を出します。ティンパニーのように音階を持つ楽器もあります。

  • バスドラム
  • いわゆる「大太鼓」です。マーチなどでビートの頭を打つ役割を持つ他、深い胴を持つ大型の楽器でトレモロを奏でたときは、空気を震わせるような深い音を生み出します。

  • スネアドラム
  • いわゆる「小太鼓」です。通常は、底面に張った「スナッピー」と呼ばれる金属製の響き線を共鳴させることで切れの良い音色にして使用します。小気味よいリズムを得意とする楽器です。

  • ティンパニー
  • はっきりとした音程を持つ太鼓として、昔からオーケストラで活躍している打楽器です。通常は2〜5個並べて1人の奏者が2本のマレットで叩き、曲の中で盛り上げるときはトレモロ(震音)で奏されます。
    吹奏楽では、コンサート形式の楽曲では常時ティンパニーを使用していますが、行進するときは楽器を担いで移動をするのが困難なので、マーチングでは使用されません。

体鳴楽器

金属や木でできた本体を直接叩いて音を出します。

  • トライアングル
  • シンプルな楽器ですが、音が済んでいるので他の楽器が大音量で鳴らしているときにもよく聞こえます。

  • シンバル
  • 2枚の円盤を合わせて叩くクラッシュシンバルは、マーチなどでリズムを刻む他、大きなサイズの楽器で派手に叩けば、曲のクライマックスを華やかに盛り上げる効果があります。

鍵盤打楽器

音階順に並べた鍵盤を叩く楽器。ピアノやチェレスタも含まれます。

  • シロフォン
  • 厚みのある鍵盤を硬いマレットで叩くので、非常に甲高くて通る音がする木琴です。合奏の中で管楽器と同じメロディを叩くと輪郭をはっきりさせる効果があります。

  • グロッケンシュピール
  • 小型の鉄筋で、非常に澄んだかわいらしい音がします。もともとは行進時に叩くベルリラから発展した楽器で、音がよく通ります。

  • マリンバ
  • 鍵盤は大きな共鳴管を持ち、シロフォンよりも柔らかいマレットで叩くので、豊かで柔らかい音がする。音域も低く、主に独奏楽器として使用されています。

  • ビブラフォン
  • 共鳴管内部の電動ファンを回転させてビブラートをかけることができる鉄琴です。神秘的な音がする楽器で、ジャズにも使用されています。

参考文献

吹奏楽雑学委員会(2006) 『知っているようで知らない吹奏楽 おもしろ雑学辞典』 ヤマハミュージックメディア
佐伯茂樹(2009) 『カラー図解 楽器から見る吹奏楽の世界』 河出書房新社

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